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フランス年金改革、修正を検討 バイル首相が所信表明

フランスのバイル首相は14日の国民議会(下院)での所信表明演説で、2023年に決まった年金制度の改革について修正を検討すると表明しました。「受給開始年齢も含め、タブーを排して新たな改革の道を探る」と述べました。

同時に年金財政の赤字が政府債務の拡大につながっていると指摘し、「改革は我が国にとって不可欠だ」とも主張ました。今後の政府と労使との協議で修正案に合意できない場合は、23年に決まった受給開始年齢の64歳への引き上げなどの改革を予定通り進めます。

新年度予算案の前提となる25年の国内総生産(GDP)成長率は0.9%、財政赤字の国内総生産(GDP)比は5.4%としました。財政赤字比率はバルニエ前内閣が25年の目標値として想定していた5%を上回ります。29年に同比率を3%まで下げる中期目標は維持するといいます。

年金改革はマクロン大統領の公約の1つで、政府は野党の反発を押し切って23年に関連法案を強行採択しました。改革に反対する有権者が多く、24年の欧州議会選や下院選で中道の与党連合が苦戦する原因となりました。

バイル氏の年金改革見直し表明には野党で中道左派の社会党を取り込み、議会での内閣不信任案の成立回避を狙うのが目的とみられます。下院選で与党連合が議席を減らした結果、現在の議会構成では極右と左派の両方が賛成すれば不信任案が成立してしまうためです。

バイル氏は年金財政の健全化を目指す方針自体は変えないとしており、政府や労使が修正案を見いだせるかは不透明です。

社会党のフォール第1書記は首相の所信表明後に出演したテレビ番組で、政府に批判的な立場を崩しませんでした。年金改革について「明確な回答がない限り、内閣不信任案を成立させる」と述べました。(nikkei.com)

(VOVWORLD)


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